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Googleの3rd Party Cookie廃止の方向転換に関するUNICORNの考え

こんにちは。UNICORN株式会社です。

先日、Googleが同社の公式ブログにおいて3rd Party Cookie廃止方針を変更し、今後もプライバシーに配慮する形を模索しながら継続して利用していくことを宣言しました。Googleは2019年、3rd Party Cookieの代替として「プライバシーサンドボックス(Privacy Sandbox)」による新たなエコシステム構築の構想を提唱し、当初は2022年までに3rd Party Cookieを全廃する計画でしたが、3度目の延期を経て、今回、ついに3rd Party Cookieを廃止するという方針を変更しました。

今回の記事では、このニュースを踏まえて、改めてUNICORNの考えをみなさまにお伝えできればと思います。


UNICORNへの影響について

まず最初に、今回Googleが発表した3rd Party Cookie廃止の方向転換において、UNICORNが大きく影響を受けることはないということをお伝えしたいと思います。UNICORNは事業発足時から、ユーザーにとって価値のある広告体験とは何か?を念頭に置き、3rd Party Cookie等を使って過度なターゲティングを行うこれまでの広告配信ではなく、広告枠に接触したタイミングで最適な広告を出すアルゴリズムの研究をし続けてきたため、3rd Party Cookie等に関する世の中の変化で何かが変わることはありません。

また、UNICORNは、ポストクッキー時代の新しいターゲティング手法と言われているコンテキストターゲティングを強みとしてきました。Google Chromeで3rd Party Cookieが引き続き使えるとしても、日本ではスマホでのGoogle Chromeの使用率は45%程度で、Google Chromeよりも使用率の高いAppleのSafariでは、すでに3rd Party Cookieは使えません。さらに、iOSの環境下で動くChromeやFirefoxなどのブラウザに関しても、Apple社がユーザーのプライバシー保護を目的に導入しているITP(Intelligent Tracking Prevention)が適用されているので、実際は全体の約70%のトラフィックにおいてすでに3rd Party Cookieは使えなくなっています。

仮にGoogleが、Appleが導入しているApp Tracking Transparency(ATT)のように、「ユーザーのデータを活用することへの許可をユーザーに求める仕組み」をChromeで導入したとしても、ATTの例に倣うと、許諾率は約34%程度です。今後は、ATTのようにユーザーのデータを識別・活用して良いかユーザーに許諾を得た上で、企業はデータを活用していく方向性になるべきですし、ユーザーのデータを使えなくとも配信環境に合わせて最適な広告を出し分けることも重要です。

そのため、引き続きコンテキストターゲティングなどの、これまでにない広告配信手法の研究開発は必須だと考えています。

規制についての考え方

世の中にはたくさんの規制が存在します。

広告業界にも、iOSではすでに実施されている3rd Party Cookie規制や、iOS、Androidで実施されているIDFA・ADID規制、EUやカリフォルニアで定められているプライバシー保護に関する規制・法律のGDPRやCCPAなど、さまざまな規制があります。

規制が作られた時に大切なのは、「なぜこの規制が作られたのか」を考えることです。
今回、Googleの3rd Party Cookie廃止の方向転換が宣言されましたが、「なぜこれまで規制する流れになっていたのか」「なぜiOSではすでに3rd Party Cookieが規制されているのか」ということを考えることが大切です。

3rd Party Cookie規制やIDFA・ADID規制、GDPR、CCPA等の広告業界を取り巻く規制。
これらは、企業がユーザーの知らないところで勝手にユーザーのデータを取得・識別したり、広告配信等に活用したりしないようにするための規制です。そして、「勝手にユーザーのデータを取得・識別して、ユーザーを広告で追い回し、ユーザーにネガティブな印象を与えて(※1)、ユーザーが知らないところで企業だけが利益を得る」。そんな広告業界を軌道修正するため、3rd Party Cookie規制やAppleのATT導入が進められてきたのです。

※1 日本インタラクティブ広告協会(JIAA)が発表した「2022年インターネット広告に関するユーザー意識調査」によると、インターネット広告に対して、「しつこい/不快」「邪魔な/煩わしい/うっとうしい」といったイメージを全体の35%前後が持っています。

「企業はユーザーのプライバシーに配慮し、ユーザーは自分に関するデータは自分でコントロールできる」というプライバシーに関する本来の「あるべき姿」への流れは今後も変わらないと、UNICORNは考えています。Googleに関しても、3rd Party Cookieを今後も活用しつつ、ユーザーのプライバシー保護対策は引き続き行われるでしょう。

規制は、世の中をあるべき姿に導くためのレールにすぎません。

そして、こういった規制を掻い潜るようなソリューションではなく、「あるべき姿」は何なのかを議論し、それを実現するためのソリューションが、多く生み出される広告業界になってほしいと思っています。

UNICORNが考える「あるべき姿」

UNICORNは広告配信プラットフォームとして、私たちのあるべき姿を「ユーザーにとって価値のある広告配信を行うことで、クライアント・パブリッシャーの事業成長に貢献できること」だと考えています。これは事業を始めた9年前、「インターネット広告業界はこの先きっと、ユーザーにとって価値のある広告が溢れるようになるだろう/そうなるべきだ」と、未来を見据えてプロダクトを開発し始めたからです。

だからこそ、ユーザーを識別せずとも適切な広告を届けられるようなコンテキストターゲティング(※2)や、ユーザー個々のデータを必要としないSKAdNetworkやMMM(※3)を活用した広告評価を積極的に行っています。

※2 コンテキストターゲティングについて詳しくは下記の記事をご覧ください。

※3 マーケティングミックスモデリング。UNICORNはMMMを活用し本質的な広告評価を行うため、モバイル計測プラットフォーム「POLARIS」を展開するMetricWorksと戦略的パートナーシップを締結し、合弁会社「MetricWorks Japan」を設立しています。


そのためUNICORNは、今回のような短期的な市場の変化に影響されて何かが変わるということはありません。もっともっと先の未来のあるべき姿を実現するために、今後も研究開発を進めていきます。

広告の本来の価値は、それを見た人々に新しい気づきを与え、人々の可能性を広げることです。引き続きUNICORNは、ユーザーのプライバシーに配慮した広告配信・広告評価を行うと同時に、ユーザーが情報を求めているモーメントをしっかりと捉えて広告を配信するコンテキストターゲティングをはじめとして、ユーザーに寄り添った広告配信を実現し、ステークホルダーの事業成長に貢献してまいります。


UNICORNにご興味のある方は、下記よりお気軽にご相談ください。



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