Apple Search Adsの最適化術 | キーワードとオーディエンスの活用法 ─ 同じキーワードでもユーザーによっては反応が違う
先日は、Apple Search Adsのパフォーマンス向上の鍵となるスクリーンショットの重要性と、その設定や運用のポイントについてまとめた記事を公開いたしました。オーガニック流入の拡大(App Store Optimization, ASO)にも直結する部分なので、まだご覧頂いていない方は、ぜひ下記よりご参照ください。
今回は、Apple Search Adsにおいての「キーワードとセグメント」を活用した最適化方法について、まとめてみたいと思います。
Apple Search Adsの最適化については、世の中にさまざまな理論や施策が存在していますが、この記事ではキーワードとセグメントを用いた最適化術、言わば、UNICORN流の最適化をベースに、皆さんの参考になるような情報を共有いたします。
Apple Search Ads最適化術 ─ 同じキーワードでもセグメントによって反応が違う
会社で雑談やチャットを行っているとき、ときどき見慣れない言葉が出てくることはないでしょうか?
その中でも、“ナラティブ(物語)”などのビジネス横文字や、TikTokでバズった“やりらふぃー(パリピとほぼ一緒)”などの流行語は、特にそう感じるケースが多いかもしれません。対話する相手の世代が離れている場合は、このように感じるケースがさらに多くなり、ZoomやSlackなどの私たちが見慣れた言葉も、特定の年齢代の方には全く通じないケースもあるでしょう。そして、検索キーワードも近しい特徴を持っています。
'ユーザーによっては同じキーワードでも反応が違うのでは?'
と、私たちはApple Search Adsの自動最適化エンジンを作り始めた際に、このような仮説を立てました。そして、年齢、性別、地域、新規・既存ユーザーなど、Apple Search Adsから提供されたオーディエンスデータを用い(*)、セグメントを分けた配信と分けていない配信での成果比較を多数行った結果、実際その仮説が正しい事がわかったのです。(*オーディエンスデータは、オーディエンスデータの提供を許可したユーザーのみが提供されます)
それ以来UNICORNでは、同じキーワードでも複数のセグメントを適用してキャンペーンを回しながら、「キーワードとセグメントの組み合わせ」別に入札の強弱を調整しています。
下記のグラフは、現在進行中のキャンペーンデータとして、インストール数の多いキーワードを各セグメント別に分けたデータです。実際のキーワード自体は公開できないため、各キーワードに色とIDを付与しています。
8つの円グラフは上下に女性と男性が分かれており、左右に年齢が分かれています。そして、円グラフにはインストール数の多いキーワードの色が表示されています。色の面積が広いほど該当セグメントにおけるインストールが多い事を示します。(グレーの色:その他)
Apple Search Adsでは多くの場合、キーワードだけに重点をおきながらブランド・競合・汎用などに区分し配信をします。検索広告なので当然、関連性のあるキーワードを探し、その反応を見極めながら入札を調整することは重要です。しかし、それだけに止まらず、各キーワードのセグメント別の反応に基づく最適化を加える事で、キャンペーンのパフォーマンスは一層上がっていくのです。
実際のデータから例を挙げると、一番右の円グラフで上位を占めている紫色(1692)と緑色(5395)のキーワードを比較した場合、他のセグメント上では上位に入らないキーワードだということがわかります。もし、キーワード単体のみで最適化を行う場合だと、これらのキーワードは予算や入札を強化する対象には入らない可能性が多いにあるでしょう。
一方、このようにセグメントを分けて配信をすることで、各セグメントごとに反応が良いキーワードがはっきり見えるようになります。更に「キーワードとセグメントの組み合わせ」による個別配信なので、個別組み合わせの強弱をコントロールすることができ、全体的な無駄がなくなるため、効率と効果の両方が向上します。
「キーワードとセグメントの組み合わせ」がもたらすもう一つの価値
年齢・性別・地域・新規と既存ユーザーなど、オーディエンスデータが利用できる場合の落とし穴として注意をしないといけない事があります。それは、「効率を優先するばかりに、可能性を閉ざしてしまう」事。
良く見かけるケースは、特定セグメントのみを最初から決めつけ、配信を行う事です。各サービスにはサービスをもっとも利用するユーザー層が存在しており、そのユーザー層の中身を見てみると、いくつかのオーディエンスタイプに分類することができます。そして、反応が鈍いと予想されるユーザー層には費用を掛けず、主要ユーザー層だけを集中的に狙うことで、キャンペーンの構成や予算の分配もシンプルになり、効率が良くなるという考え方です。
ただ、これは短期的な策に過ぎません。サービスの寿命が数ヶ月などと非常に短い場合などには通じる策ではありますが、時間が経つにつれ、特定層でリーチできるユーザーのボリュームは限界を迎え、費用効率的にも初期と同じく安く抑えられる保証などはどこにもありません。
加えて、広告プラットフォームごとにユーザーの特徴は異なるため、年齢や性別などのデモグラフィック要素だけに影響されることは少なく、それ以外の要素に影響される可能性が多いに存在します。
その為、例え主なユーザー層が定義されたとしても、ユーザー獲得における新たなボリュームゾーンや高効率ゾーンを探す実験は必要だと考えます。
下記の円グラフは、上と同じデータを今度は性別(F:女性、M:男性)と年齢だけで分析したデータです。このサービスでの最初のクライアントヒアリング時に伺ったことは「女性の20代〜40代がほとんどのユーザー」ということでした。その後、Apple Search Adsのキャンペーンを開始すると共に、全てのセグメントを検証したところ、50代の女性層からもかなりのユーザーが獲得でき、さらに男性のユーザーからも一定の好反応があることが結果として見られたのです。
このように、想定していなかった 「発見」 につながるケースも多くあるため、最初から“決めつけ”で特定セグメントのみを絞り配信するのではなく、配信プラットフォームごとに考えを変え、どのようなユーザーが獲得できるのかという「可能性を広げる実験」を行う事は非常に重要だと、我々は考えております。
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以上、UNICORNが考え、実行しているApple Search Adsの最適化について共有させて頂きました。
「可能性を広げる」、そして 「同じキーワードでもユーザーによっては反応が違う」。このような考え方をベースに、仮説の検証と自動化システムの改善を重ねてきました。こうした積み重ねが実り、ありがたいことに今年(2021年)の3月には、Apple Search Adsの公式サイトに、成功事例として掲載をいただくこととなりました。
少し宣伝っぽくなってしまったのですが、今回の記事で皆さんに共有させて頂いたApple Search Adsの最適化術の話が、全くのデタラメではないという話をしたかったのです。
Apple Search Adsにおいて、もっとパフォーマンスを上げたい。そう考えている方の中で、まだ「キーワードとセグメントの組み合わせ」別の細かい配信を試されてない方や、これからApple Search Adsを実施する予定などをお持ちの方は、ぜひご参考頂ければと思います。
その上で、難しいと感じる部分やご不明な点などがございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。
UNICORN
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