【PRODUCT UPDATE】アプリのアトリビューション判定における基準見直し
こんにちは。UNICORN株式会社です。
早速ですが、皆さん、モバイル計測パートナー(MMP)側で広告の成果を判定するに際し、ラストタッチ(*)を基準に成果を判定することは既にご存知かと思います。
では、MMPに送信する広告Clickや広告Viewの定義が、各広告プラットフォームごとに異なることもご存知でしたか?
はい、実際に各広告プラットフォームが送信する広告Clickや広告Viewは、それぞれ異なる定義とタイミングを持っています。例えば、ユーザーが本当に広告をClickしてなくても、広告の動画が2秒再生されたら、「広告をClickした」としてMMPに送信することや、広告が10秒再生された時のみ広告Viewを送信する広告プラットフォームがいれば、広告が表示された時点で広告Viewを送信する広告プラットフォームもいます。
各広告プラットフォームの提供会社は、それぞれ異なる企業体であり、ユーザーに広告を表示する仕様や環境もそれぞれ異なるので、完全に基準を一致させることは実際難しいことではあります。
しかしながら、このような広告送信基準の違いによっては、広告に対するユーザーのエンゲージメントが浅い広告のシグナルが大量にMMPに送られることにもつながり、ユーザーが本当に興味を持って反応した他広告プラットフォームの広告やオーガニックなどの成果の正しい判定を妨げるケースも多く存在します。そして、結果的には実態より多く、安く獲得できているようなミスリードを生じさせる原因にもなります。
ここからは、こちらの実態に対する具体的な背景と共に、本件に関連するUNICORNの仕様変更についてお話しさせて頂きます。UNICORNをご利用中のお客様、またはこれからUNICORNを検討頂く方々は、是非一度お読み頂けますと幸いです。
ラストタッチ仕組みと基準の相違
冒頭でも簡単に話させて頂いたように、MMP側では現状 『ラストタッチ』 を基準に成果を判定しています。
そして、ラストタッチを話す上で欠かせないのが、「判定の優先順位」です。簡単におさらいすると、ユーザーがInstallに際し複数の広告を接した場合、
「①広告IDがある広告Click > ②広告IDの無い広告Click > ③広告IDのある広告View > ④広告IDの無い広告View」 の順番で成果判定の優先順位が付けられるようになっています。これは、例え、ラストタッチに基づき、「④広告IDの無い広告View」がInstallの直前にあった広告だとしても、「①広告IDがある広告Click」の記録が残っているのであれば、①に成果が付けられるような仕組みです。
アプリ広告が始まったばかりの頃には、このような複雑な仕組みが無く、広告Clickのみが成果を判定する判断材料になっていましたが、動画広告を配信できるプラットフォームが登場し、直接広告をClickしてなくても、広告視聴がInstallなどの成果に影響をもたらすとの観点から、広告Viewも成果判定の判断基準に加わるようになりました。
加えて、初期にはIMEIというリセットのできない各端末固有のIDが、広告ClickとInstallを結び付ける識別子として使われましたが、ユーザーのプライバシー観点から使用が廃止され、代わりにIDFAやGAIDのような広告専用のIDが使われ始めました。同時に、Web媒体など広告IDが取得できない環境において、デバイスのIPアドレスや、OSバージョン、ブラウザーのユーザーエージェントなどの情報から同一ユーザーかを確率論的に判断するフィンガープリンティングの方法論も登場するようになった中、広告IDのように同じユーザーであることが判別できるIDと、確率論的に同じユーザーを推定するフィンガープリンティングの間で、優先順位の差を付けるという、現在の仕様に至っています。
上記のような流れを見てみると、アプリ広告が成長する段階で生まれた様々な環境変化の中で、成果判定に対する基準を明確にするためという良い趣旨の基に、判定の優先順位というルールが定まれたことがわかります。
しかしながら、アプリ市場の成長と共に、広告の技術や表現も多様化され、各広告プラットフォームでは独自の広告表現や基準が増えるようになり、アトリビューション判定では、各社が定義する広告Clickや広告Viewの差や送信タイミングの大きなばらつきが存在する現状につながりました。
直近、インクリメンタリティ(Incrementality)計測という手法が多くの注目を集めているのは、iOS14.5による広告ID取得が制限された部分だけではなく、上のようなラストタッチの課題や背景が大きく起因しています。こちらの、インクリメンタリティ計測についても、UNICORN側で取り組んでいる動きがあり、近いうちに別途ご案内いたします。
UNICORNの仕様変更
このような状況の中、メガプラットフォームとアトリビューションデータ送信基準を揃え、お客様がより横並び比較しやすくする趣旨として、UNICORN側ではこの度、アトリビューションデータ送信基準に関する仕様を変更することになりました。
今まで、
1. 広告Click: 「表示された広告をクリックした」場合は、Clickと定義し、MMPに送信。
2. 広告View(WATCH):「動画広告に興味を示した」という基準を、6~10秒未満の動画広告の場合は視聴完了、10秒以上の動画広告の場合は10秒視聴をViewと定義し、MMPに送信。静止画広告に対しては、広告Viewの扱い無し。
これから、
上記の1, 2に加え新たに、
1. 広告View(VIDEO VIEW): 「動画広告が50%以上表示されるViewableの状況で2秒以上再生された」場合、広告Viewとして定義し、MMPに送信。
多くの広告プラットフォームでは、既に適用されている基準であり、客観的に見ると大した仕様変更ではありません。しかし、私達の中では大きな変更であり、今までのUNICORNの振る舞いから考えると方向性の違う動きにも見えると考えたため、今まで長くUNICORNをご利用頂いたお客様に、しっかりと背景と意図を伝えさせて頂きたいと思った次第です。
一方、「3. 広告View(VIDEO VIEW)」のみで上がった成果は、最適化の判断材料としては使いません。こちらはあくまで他広告プラットフォームとの基準を揃えるためものでして、UNICORNにおける最適化は、引き続き、「1. 広告Click」による成果と、「2. 広告View(WATCH = 動画広告10秒再生」による成果のみとなります。また、UNICORNにおいては、引き続き、静止画の広告を広告Viewとして扱うことは現段階ではありません。
少し長くはなりましたが、以上、アプリ広告に際する「ラストタッチモデルの現状」に対する実態と背景、そして、それに伴うUNICORNの仕様変更についてでした。
UNICORNは引き続き、「価値のある広告のみを提供し、お客様のビジネス成長に貢献する」という思想を基に、より価値のある広告やマーケティングサービス提供に最善を尽くします。
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