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オンライン広告の効果計測の原点回帰-本当に重要な指標とは

インターネット広告は、テクノロジーの発展によりさまざまな指標で計測や評価が可能になリました。一方で、マーケターが表面上の数値に踊らされた結果、インターネット空間にはユーザーにとって不快で邪魔な広告が増え過ぎてしまいました。そんな現状から脱却し、本来のあるべき広告体験を作るために、マーケターは何を重要視していくべきでしょうか。

※本記事は、ATS Tokyo 2024での弊社代表取締役 山田翔のプレゼンテーション内容をもとに編集しています。


約1兆円が無駄になっているインターネット広告の現状

このnoteの読者のみなさまは広告の関係者が多いと思いますが、仕事としてではなく、1人のユーザーとして、インターネット広告は好きですか?

マイボイスコム株式会社による調査によると、66%ものユーザーが広告の内容をほとんど読まないことがわかっています。この調査の対象であるディスプレイ広告、動画広告を対象に、市場規模に置き換えて考えると、これは、年間のインターネット広告媒体費の2兆6,870億円(「2023年 日本の広告費」)のうちの約1兆円に及びます。つまり、年間で約1兆円のインターネット広告費を払って、ユーザーにスルーされる広告を配信し、ユーザーのインターネット体験を阻害することで、ユーザーに嫌われてしまっていると考えられます。

また、日本インタラクティブ広告協会(JIAA)の調査によると、インターネット広告は、テレビCMや新聞広告などのマス広告と比較して、約2-3倍もユーザーに嫌われてしまっているという現状があります。

このまま、インターネット広告は、66%のユーザーにスルーされ続ける存在でいて良いのでしょうか。


そもそもインターネット広告は、広告主が広告媒体に出稿し、ユーザーがその広告をしっかりと見て商材に興味を持ち、サイトへの遷移や購入などのアクションを起こすことで、広告主の売り上げとなって還元され、広告主がまた広告を出稿する、というサイクルになっています。

しかし現状、すでに66%のユーザーが広告をスルーしており、今後、ユーザーは広告をもっと見なくなることが想定されます。このままでは当然、広告を出したことによる、広告主の商品やサービスに対するアクションが減るため、広告を出す意味がなくなり、インターネット広告のサイクルは壊れます。

その結果、「インターネット広告があるからインターネットが無料で使えている」という状態が成立しなくなります。
インターネット空間を守るためにも、ユーザーが興味を持って見てくれる広告を配信することが非常に重要なのです。


「ユーザーが広告を見た」ことがわかる指標とは

では、「ユーザーが広告を見た」とはどのような状態なのでしょうか。
広告主や広告代理店の方々は、普段様々な指標を計測し、広告配信の良し悪しを判断されていると思いますが、最も一般的に知られている指標であるImpressionとViewable Impressionの真実を、レクタングル広告を例にご紹介します。

まず、Impressionは、ユーザーが見ているWebページでローディングが起こった時にカウントされます。つまり、ユーザーに見られてないどころかデバイスの画面にも表示されていないにも関わらずカウントされてしまっています。現状、多くの人々が、このImpressionの本当の定義を理解しないまま、CPMやリーチ単価をKPIに設定し、画面にも表示すらされていない広告に、多くの広告費をかけてしまっている場合が多くあります。

こういったImpressionの課題を解決するために生まれたのが、Viewable Impressionです。Viewable Impressionは以前から、質の高いImpressionを測定するための重要な指標として考えられていました。しかし、Viewable Impressionの定義は、ディスプレイ広告の場合は広告の面積の50%以上が1秒以上(ビデオ広告の場合は面積の50%以上が2秒以上)表示されたImpressionです。Impressionと違って、画面に見える範囲で表示はされますが、画面に出ているだけでは、「ユーザーが広告を見た」と言い切ることはできません。

ではユーザーに広告が見られた状態は、どのような状態でしょうか。
おそらく、ユーザーが本当に興味を持って広告を見る場合、広告を画面の真ん中で数秒間見て、広告の内容を理解して、クリックするなどのアクションをすると考えられます。

つまり、画面の真ん中に広告が止まって、数秒間たったかどうかを計測することが、「ユーザーが広告を見たかどうか」を判断するための要素になると考えられます。

このような「ユーザーが広告を見たかどうか」という指標は、Attention Viewと言われ、昨今注目されてきています。現状、グローバルでは様々なAttention計測のソリューションがあり、Attention Viewを重視していく流れが強まってきています。

特に、日本でのマーケティングですでに導入されてきているのは、Lumen、Adelaide、PlayGround、DoubleVerify等のソリューションです。今すぐAtteinton計測を導入したい場合はこれらの企業のソリューションの導入がおすすめです。

また、UNICORNでも、Attention計測ができるソリューションを作り、記事内のインライン広告として掲載されるレクタングル広告を対象に、独自のデータを集めてみました。

すると、Impressionが約10,000のうち、Viewable Impressionは約4,000ありました。さらにそのうち、画面の真ん中あたりで数秒程度止まったかどうか(=Attention View)が発生した数を見ると、約100しかありませんでした。つまり、広告主がお金を払って配信した10,000Impressionのうち、9,900Impressionは、ユーザーに見られていないということです。私たちが思っている以上に、広告は見られていないのです。

また、「Viewable Rateは高い方が良い」と誤解されることが良くあります。
Viewable Rateは、それ自体が高くても、ユーザーが広告をしっかり見ていない限り、全く意味がない数字です。例えば、下部固定のオーバーレイ枠やワイプ枠などはページに常に表示されているため、Viewable Rateは高いですが、ユーザーが本当に見ているかどうかはわからず、ユーザーが広告をみて興味を持ってくれる可能性は低いと考えられます。

広告は、しっかりと見られない限り、ユーザーは興味をもたず、Clickは起きません。Clickがおきなければ、その先のCVも起きません。ちなみに、ViewスルーCVという指標はViewable Impressionベースでカウントされていますが、約4,000あるViewable Impressionのうちの、たったの100程度しかユーザーは実際に広告をみていないので、ViewスルーCVを計測するのであればAttentionViewベースで計測しないと全く意味がありません。

とにかく、ユーザーが、興味を持って広告を見てくれる状況を作ることが、最も重要なのです。

UNICORNは、こういったAttention計測ができるソリューションを作っていますが、いち配信事業者であるため、数字に信憑性がないと思われることもあります。そのため、今後、期間限定で、外部の計測ベンダーと連携し、UNICORNの全トラフィックでAttentionを計測をする実験をしようと考えています。


インターネット広告の本来あるべき姿のために

私たちUNICORNは、日本全体のインターネット広告を良くしていきたいと、本気で思っています。インターネット広告がこのまま、ユーザーに嫌われてしまうのを待つだけではいけません。どうにかして、今のインターネット広告の現状を変えたくて、UNICORNという事業をやっています。この思いは、事業を始めた9年前からずっと変わりません。

媒体者の皆さん。
たくさんの広告枠を増やせば増やすほど、ユーザーのインターネット体験を阻害し、ユーザーに嫌われてしまうばかりです。媒体価値をあげるためにも、できるだけ不要な広告枠を減らして、ユーザーがみてくれる広告枠だけを残し、そしてその広告枠の、ユーザーにとっての価値をあげることが、長期的にみてとても重要です。

広告主や広告代理店の皆さん。
ユーザーが興味を持ってアクションしてくれる、本質的な広告枠にお金を使うことが、業界を正しい方向に導きます。広告主のお金が流れるところに対して広告事業者や媒体社は最適化せざるを得ません。本当に価値がある広告にだけ投資をし続ければきっと業界全体が良くなるはずです。私たちUNICORNも、業界を良くするためのノウハウやデータを積極的に共有していくので、本質的な広告効果を生み出していくお手伝いをさせてください。

最後に、広告プラットフォーマーの皆さん。
私たちプラットフォーマーが、本来あるべき広告体験を作るためのソリューション開発をしなければ、インターネット広告は良くなりません。競合する部分ももちろんありますが、このままでは、インターネット広告全体が機能しなくなります。UNICORNは積極的にノウハウを公開していくので、ともに、あるべき広告体験を目指していきましょう。

UNICORNは、日本のインターネット広告のため、そして日本発でグローバルの広告を良くしていくために、これまでも、これからも、信念を掲げて邁進していきます。UNICORNに興味がある方は下記よりご相談ください。

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