
【徹底解説】アテンション計測の重要性。アテンション計測ソリューションをご紹介します!
「この広告は、ユーザーに見てもらえているのだろうか」。 そんな疑問を感じたことはありませんか?
従来のビューアビリティ等の指標では、「ユーザーが本当に広告を見ているのか」は測れません。そこで注目されているのが、「アテンション計測」。広告がどれだけ「ちゃんと見られたか」を可視化する、新しい指標です。
本記事では、日本国内市場でのアテンション計測の現状を解説し、アテンション計測ができるソリューションをご紹介します。
広告のアテンション計測とは?
昨今、広告業界でよく聞く言葉、「アテンション計測」。
広告におけるアテンションとは、その広告がどれだけユーザーに注目されているのかということをしっかり可視化/計測していこうという考え方です。グローバルの企業を中心に広がっている考え方ですが、日本でも徐々に広まりつつあります。
しかし現状の広告業界では、「アテンション」と言っても明確な定義や指標があるわけではなく、各企業によって、さまざまなアテンションの計測方法が使われています。
例えば、ユーザーの広告上の滞在時間を広告のアテンションタイムとして計測する方法や、専用のマスクをユーザーに被ってもらいアイトラッキングで広告を見ているか計測する方法、触って楽しめるインタラクティブな広告上でのユーザーのアクションを計測し、「広告に触っている=前提として広告を見ている」とみなす方法などがあります。
このように現状は、「ユーザーが広告に注目した」ことを可視化するために、「ユーザーが広告に対してどのように接したのか」を計測する、さまざまなアテンション指標が存在しています。
アテンション計測が重要視される背景
アテンションが重要視されている背景には、多くの広告主が直面している課題があります。
それは「広告費をかけてもビジネス成長に繋がらない」ということです。
インターネット広告は、テクノロジーの進化により、広告の配信結果を細かく計測できるようになりました。現状、多くの広告主は、広告配信後のさまざまな指標をみて、広告への投資に効果があったのかを判断しています。
例えば、インプレッションです。

インプレッションは「広告がユーザーの画面に表示された数」として認識されていることが多いです。しかし、実際のインプレッションの定義は、「広告掲載ページが読み込まれ広告がレンダリングされた回数」つまり、ユーザーの画面の中に表示されていなくても、インプレッションとしてカウントされてしまいます。そのため、ブランドマーケティングで起こりがちな、CPMの安さ(1000インプレッション配信するのにかかったコスト)を追い求めることも本質的ではありません。

ユーザーに見られていない広告にお金を投資しないため、次に出てきた指標に、ビューアブルインプレッションがあります。直訳すると「見ることのできるインプレッション」ですが、IAB(Interactive Advertising Bureau)が定めたガイドラインでは、「広告ピクセルの50%が、スクリーンに1秒以上(動画の場合は2秒以上)表示された、広告インプレッション」をビューアブルインプレッションとして定義されています。つまり上記の画像のように、広告が半分しか表示されていない状態かつ画面に1秒しか表示されていなくても、ビューアブルインプレッションとしてカウントされてしまい、ユーザーが本当に広告を見ているかどうかわかりません。

また、ビューアブルインプレッションの登場により、ビューアブル率を可能な限り高くすることを目指した結果、ビューアブル率100%の下部固定枠やワイプ枠などが増え、最近ではインターネット上にはユーザーにとって邪魔な広告な広告が溢れています。広告は、ユーザーにちゃんと見られてないと広告効果は出せませんし、ユーザーに「邪魔な広告だ」と嫌われてしまっても、広告主のビジネス成長には繋がらないのです。
そこで、「ユーザーが興味を持ってちゃんと広告を見ていること」をより正確に評価をするため指標として出てきたのが、アテンション指標です。
アテンション計測に関する広告業界の現状
DoubleVerifyの2024年グローバルインサイトレポートによると、APACのメディアバイヤーの58%が、2024年ほとんどのバイイングにて、アテンション計測に重点をおくと回答しています。実際に、アテンション計測ソリューションを提供しているDoubleVerifyでは、過去1年間のアテンション計測の導入はグローバルで3倍に増加したようです。
また、同レポートでは、ブランディング施策において、ビューアビリティの最適化をしたときと比べ、アテンションの最適化をしたことによりKPIが50%改善したことや、アテンションが低い広告接触者に比べ、アテンションの高い広告接触者は、30%ブランド認知度が向上したことなどを踏まえて、アテンション測定が全てのファネルの結果を左右すると述べられています。
さらに、日本国内でもアテンション計測を重要視する動きは加速しています。
Hakuhodo DY ONEでは、2022年時点で、すでに海外のアテンション計測ソリューションであるLumenやAdelaideとやりとりを進めていたようです。現在、博報堂DYグループでも、クライアントのアテンション計測活用を支援する事例がすでにいくつか出てきており、クライアントへの提案、計測実施、レポーティングまでを一気通貫で行うことができる体制もできていると語っています。
また、日本においてカラ・ジャパン株式会社、アイプロスペクト・ジャパン株式会社、dentsu X Japan株式会社、電通インターナショナル・ジャパンオフィス株式会社で構成される電通ジャパン・インターナショナルブランズでは、Lumen ResearchおよびRealeyesの調査チームと共同で、デジタル広告における「アテンション(広告への関心・注目度)」がブランド想起、エンゲージメントおよび選択におよぼす影響を検証する目的で、最新のVision AIと視線計測技術を用いた大規模調査を実施しています。この調査では、日本のモバイル使用環境におけるアテンションの実態が明らかにされており、日本国内における広告のアテンション計測の重要性を強調し、より精緻な広告評価基準を確立するうえで、大きな意味を持っています。
主なアテンション計測方法
現状のアテンション計測は、基本的に下記の二つを組み合わせた計測方法が用いられることが多いです。
①アイトラッキング測定
一つ目は、アイトラッキング測定です。
ユーザーの視線の動きを追跡し、広告に対する注視時間や注視箇所を測定します。専用のハードウェアやソフトウェアを使用して、ユーザーが広告をどの程度注視したかを詳細に分析します。
透明性があり、精度も高い点がメリットですが、時間と費用がかかる上、取得するデータが限定的であることが課題です。
②効果測定データからの推定
二つ目は、効果測定データから推定する方法、つまり、「このデータがあるならばユーザーは広告を見ているであろう」と推定する方法です。
例えば、ユーザーの広告上の滞在時間や、触れる広告に対してのユーザーのエンゲージメント、スクロールの速度などから分析・推定します。短時間で大量のデータをとることができることに加え、広告の配信最適化に向けたPDCAが回しやすい点がメリットですが、アイトラッキングと比較すると精度が若干劣ります。
国内で使えるアテンション計測ソリューションのご紹介
ここから、国内で使えるアテンション計測ソリューションを2つご紹介します。
①Lumen
イギリス・ロンドンに本社を置くLumenは、人間のアテンションに関する理解を拡張し、ブランドがそのアテンションを具体的な成果へと転換できるよう支援する企業です。3,000人のアイトラッキングデータとLumen Attention Tagなどで収集した効果測定データを機械学習し、広告の視認可能性を予測するアテンション計測ソリューションを提供しています。
Lumenのアイトラッキングでは、専用ヘッドセットやデバイスのカメラを活用し、100ミリ秒以上の視認時間を「注意が向けられたビュー(Attentive View)」と定義した上で、ユーザーの視線データを測定しています。この方法で収集したLumenのデータセットには、米国・英国の3,000人のパネリストによる70万件以上のアイトラッキングデータが含まれ、これを基にした「Lumen予測アテンションモデル」により、広告の視認可能性を高精度に予測することができます。
②DoubleVerify
DoubleVerifyは、デジタルメディアの測定と分析のための先進的なソフトウェアプラットフォームを開発・運用しており、アドフラウド防止機能などブランドセーフティソリューションを業界で初めて生み出した企業です。
DoubleVerifyによって保証されたメディアの品質に関する基盤データのもと、「広告の露出」(広告の目立ち度、画面占有率等)と、「広告の接触」(ユーザーの広告に対するアクション)等を計測し、リアルタイムに分析、キャンペーンのパフォーマンスを最適化するインプレッションレベルのインサイトを、タイムリーに提供しています。これらのデータは、サードパーティーのCookieに依存せず、ユーザーのプライバシーを尊重しながらデータを収集・分析されています。
UNICORNでのアテンション計測
全自動マーケティングプラットフォームを運営しているUNICORNでも、独自にアテンション計測を実施しており、主に2種類の計測方法があります。
①クリエイティブ上のエンゲージメントによる計測
一つ目は、クリエイティブ上でのユーザーのアクション(エンゲージメント)によるアテンション計測です。
UNICORNでは、ユーザーが広告クリエイティブを触って楽しめるような、Interactive ADを強みとしています。

Interactive ADでは、インプレッションからクリックまでの間のユーザーのエンゲージメントを計測することができます。

ユーザーがクリエイティブを触っているということは、前提として必ずそのクリエイティブを見ていると言えるので、クリエイティブ上のエンゲージメントを多く発生させていくことにより、ユーザーのアテンションを高めることができます。
具体的には下記の記事で紹介しています。
②効果測定データによる計測
二つ目は、クリエイティブ上のエンゲージメント以外のさまざまな効果測定データから、「ユーザーが興味を持ってクリエイティブを見た」ポイントをAttention Viewとして計測することです。

UNICORNでは、記事内のインライン広告として掲載されるレクタングル広告を対象に、「画面中央にある一定時間広告が表示され続けた」という効果測定データを、ユーザーが広告をしっかり見たと定義し、独自に調査した結果、インプレッションに対して、実際に広告を見たAttention Viewの割合は約1%ほどという結果になりました。つまり、広告主がお金を払って配信した10,000インプレッションのうち、9,900インプレッションは、ユーザーに見られていないということです。私たちが思っている以上に、広告は見られていないのです。
ユーザーが広告をしっかり見ないことには、広告効果も生まれません。そのためUNICORNでは、いかにこのAttention Viewの割合を増やしていくかという点を重要ポイントとしてとらえています。今後、期間限定で、外部の計測ベンダーと連携し、UNICORNの全トラフィックでAttentionを計測をする実験をしようと考えています。
まとめ
現状のインターネット広告では、「見られていない広告」や「ユーザー体験を阻害する広告」に、多くの広告費が流れてしまっています。これらの広告にお金を投資しても、広告効果を得ることができないどころか、ユーザーに嫌われてしまいます。
だからこそ、「ユーザーが興味を持って広告を見る」地点である、Attention Viewが多いメディアや広告枠はどこなのかをしっかり計測し、本質的に広告の効果を得るにはどうすれば良いのかを考えていくことが重要です。
UNICORNは、本来あるべきインターネット広告の実現のため、アテンション計測をはじめ、さまざまなソリューションを開発しています。ご興味のある方は、下記よりお気軽にご相談ください。
